2月題詠短歌感想31-37と今後のおしらせ
2月の題詠短歌、ラストのエントリ31−37をご紹介します。
その後に皆さまに弊企画に関するお知らせがございます。
感想31−37
正直、後半になれば手抜きできるかな…と思いきや、おっとどっこいとっても良い短歌が集まってるんですよね。
というわけで最後まで手抜きなんか一切なしです。
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1.白
生まれつき肌の白きに恵まれど 隠せはしない七十の難
5.板
まな板と自称し照れる友の顔 我が胸の肉に炎燃えたり
ハゼコさんは減量中感じていることを活かしての短歌ですね。
短歌×減量あるある縛りもまたむずかしいと思うんですがよくお詠みになってるなあと思います。
「我が胸の肉に炎燃えたり」なんか最高に光ってて血肉も通ってるフレーズですよね。「あるあるあるああ!!」って思う女性が多いんじゃないでしょうか。
デブあるあるというテーマに堅めの文語体で詠んでいるのが、おかしみをよく理解されていらっしゃいますよね。
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1.白
より白くより美しき女(こ)を夢み 夢に終わるよイモの乳揉み
6.瓜
熱しやすく冷めやすいのは焼酎と 我が気まぐれよ余す胡瓜よ
9.おでん
「いい店を探しますね」と10月に おでん無しでも冬は越せそう
陸次郎さんセンスないと嘆いてはりますがそんなことはなく、等身大のいいとこを見ていらっしゃいますよ。もしセンスというものが存在するならこうやって自分の未知に飛び込めることがセンスだと私は思っております。ちなみに私の短歌は凡庸です。
1、白乳の美女を夢みながらイモを揉んでるんですね。性春、いえ青春ですよね。上句と下句のギャップが好きです。
6、学生時分わたしも焼酎に浴びるほどお世話になったのでわかります。余す胡瓜はつけあわせに頼んだ居酒屋のもろきゅうかお新香でしょうか。
9、恋が始まりそうな歌です。今冬はおでんじゃなくその人といいカンジの店で美味しいものを食べられたのでしょうか。
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はてな題詠「短歌の目」 第0回 で短歌に挑戦してみる - イグアナガール
7. 外
思春期に読んだ漫画で憧れた外国情緒は戦火の下に
8. 夜
自転車で海岸線を駆ける夜 聞こえてくるのは波音だけ
9. おでん
コンビニの「味噌付けますか」にも慣れて なかった頃にはもう戻れない
ブログをお引っ越しされたいぐあないぐ子さんです。いずれも情景が想像しやすく、明るい歌からちょっとせつない歌まで幅広い目線なのがとても良かったです。
8なんだか映画のワンシーンでありそうな感じですよね。潮の香りがしそう。
9、生まれ育った場所とは違う土地に移り住んで数年、そこの文化に馴染みゆく自分へのかすかな驚きや感慨みたいなのがしみじみ伝わります。
そう、けっこう短歌って性格でるんですよね、短歌のおもしろさって人のおもしろさなのかもしれません。
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4.あなた
襟足のあなたも気づかぬ黒い星 私だけだとそっと口寄せ
5.板
板ずりをして食むオクラの青くささ なんにでもあうはずなのになぜ
6.瓜
ほとんどが水分なのよ知っていた?瓜かじる君も水分が多い
7.外
外灯の明かりだけだとさみしくて連絡帳から君の名探す
ちゃいちゃい。かわいい。
赤穂さんはアイドル短歌のほか都々逸も詠まれているということで、さすが情景の切り取り方や比喩表現の仕方が秀逸でした。
4、ほの艶やかな大人の歌です。そういう間柄だからこそ当人も知らぬものが見えていたりするのですよね。
5、なんにでもあうはずなのになぜかオクラの青くささが気になる。たんにオクラのせいなのか、食んでいる私がなにかいつもと違うのか、という深読みをしてしまいました。
6、みずみずしい2人の間柄を想起しました。
7、そういう夜、あります。
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57577の鍵握りしめ想像力の扉を開く( #短歌の目 参加してみました) - Qの箱庭
2.チョコ
チョコレート売場に群がる人々を パイナップルを持って追い越す
7.外
家の外この町の外海の外 この星の外その更に外
8.夜
ブランコに揺られる影が伸び切って 闇にとけたら夜のはじまり
きゅーいんがむさんは以前から短歌が気になっていたということで、この機会に参加していただいてありがとうございます。
2、じゃんけん遊びの「パイナツプル!」とひっかけてるんですよね。皆がわきたつイベントごとを異質なものを持ってひとり追い越すところがゴーイングマイウエイ宣言のようで好きです。
7、読み進めるごとに情景とともに自分がどんどん拡がっていくような感じの歌ですよね。
漢字を使うかひらがなを使うかでも情報として頭にとびこんでくる感触が異なるんです。「外」の表記のしかたを意味あいによって変えていくとより「この先どうなっちゃうのさ」感が出るかも、と思いました。
8、絵本のような、少し不穏な気もする、遊び場の情景です。
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3.雪
雪降れば 大きな雪玉積み上げて じんわり朱になる紅葉の手
5.板
まな板と 包丁が奏でる即興曲 妻の機嫌はそこそこだ
10.卒業
卒業後 ひさかたぶりの学校は 色んなものが 少し小さい
クイチさんはちょうどくさくさしていたときにこの企画に立ち寄ったとのことで、気分転換になったならとても良かったです!
3、紅葉の手というと子どもの手かなと思うんですが、雪の白と朱い紅葉という色の移り変わりがきれいで、またほほえましくもありました。
5、包丁の音とか生活音でパートナーの機嫌を推測するっての、ありますよね。「そこそこである」なんかにすると少しびくびくしてるのにしゃちほこばってるおかしみがプラスされるかもですね。
10、これはすごく私好きな歌です。
卒業して久しくいってない母校へ行くと、あんなに大きく見えていた机や黒板、体育館、運動場の遊具が小さくて衝撃
を受けたことありました。じっさいには自分が成長したからなんですけど、なんだかそれだけではすまされない、あのせつなさといったら。
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6.瓜
津波来て塩にまみれた農地でも 西瓜は育つ 張り詰めた赤
7.外
愛煙家 外階段の踊り場が難民キャンプ 空はきれいだ
8.夜
バチバチと虫が煙に 誘蛾灯 夜闇の光 心して行け
短編小説も書かれていらっしゃるkazupinnさん、短歌企画にも参加していただいて嬉しいです。
小説同様、ロマンティックで、マイペースで、時たまどこかドキリとさせるフレーズがあるのが印象的でした。
6、「張り詰めた赤」熟した西瓜と、それだけではない、いまだ張り詰めた空気があるその土地を思わされました。
7、愛煙家はとかく肩身が狭い世の中になりましたが、「難民」にたとえたのは上手いですね。「空はきれいだ」の泰然自若感が好きです。
8、「心して行け」がなんだか時代がかっていておかしみを感じさせます。
題詠短歌も参加してらっしゃるんですね。完走応援しております!
今後のおしらせ
お題発表と投稿〆切日を変更します
おかげさまでノルマ5名様を達成しましたので毎月開催とします。
毎月1日にこのブログでお題を10首発表、〆切は10日とします。
投稿される方は必ず歌の中にお題の語句を入れて短歌を詠んでください。
詳しくはルールと参加方法をご確認ください。
次回以降管理人からの感想,tipsはもうけません。
管理運営に徹しますので皆さま自由に感想や振り返り等お楽しみください(でも出しゃばりなのでたまにしゃべりたくなるかも)。
お題を募集します
次回以降のお題を募集します。より幅のある題詠短歌のため、ご自身のブログ、twitter等でお題を提供してただけると助かります。
お題は一人いくつでも構いません。その中から抽選して使用させてただきます。
お題ご提供方法
以下3つのうち、いずれかやりやすい方法でお題をご提供ください。
1.弊ブログ「お題を募集します」エントリからコメント欄にご投稿ください。
はてな題詠短歌のお題を募集します - はてな題詠「短歌の目」
2.ツイッターアカウントをお持ちの方は @tankanome にメンションでお題を送ってください。半botですのでお題の単語だけでかまいません(本ブログサイドバー右上からもご投稿いただけます)。
3.twitterで #短歌の目 のハッシュタグを付けてお題をツイートしてください。
あの人の短歌、読んでみたくないですか? −はてな題詠「短歌の目」http://t.co/Z1Yek0YPTC
— はてな題詠「短歌の目」 (@tankanome) 2015, 2月 24
というわけで、ご参加くださった皆様、もう一度心よりありがとうございました。
次回は
お題発表3月1日
〆切3月10日
です。
お題提供のご協力お願いいたします。
というわけでわたし、短編小説のつどいのべらっくすに参加してくるね!
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追記:公募ガイドにて歌人:東直子先生の題詠短歌募集コーナーもあります。
お題は「窓」。
腕試しにどうぞ。〆切3/2!!
http://www.koubo.co.jp/guide/tanka.html