はてな題詠「短歌の目」

毎月1回、はてなブログで気軽に短歌を詠むイベントです。

2月投稿短歌の感想です1−10

 

2月の題詠短歌、たくさんのご参加ありがとうございました。

また盛り上げてくださった皆様、はてな運営さんもありがとうございました。
以下ご紹介と管理人よりちょこっと感想、最後に初心者の方向けtips(ぜんぶ穂村弘御大の受け売り)です。

 

 

投稿作品1−10 ご紹介

1


今月のお題 - はてな題詠「短歌の目」 - 日々我れ

 

いまださんトップバッターありがとうございました!バランスのいい遊び心で後続の方の興味を喚起してくださって、感謝です。

2.チョコ

 チョキかパーだけしかださない君が好き スカート揺れて「チヨコレイト」

4.あなた

口ずさむしあわせ探すその代わり 噫山のあなたの空遠く

 

9.おでん

眠れずに動画漁りをしてたから電車がおでん連呼してゆく

 


おでんうでんおどん - YouTube


2、「チヨコレイト」遊びする世代らしく、ストレートな表現なのがよいですね。

4、「噫」の使い方が上手!

9、こういう遊び心もバッチリOKです。ブログ短歌だと他メディアとのミクスチャが気軽にできるのでいいですね。

 

 2


手紙を書き、短歌を詠む。 - 本日の手紙 大学生の今日の出来事

 

えづれさん、短歌は初めてということですがとても良い目線をお持ちだなと思いました。

5. 板

板につく そう言われるまで 幾年も ディズニーランドで ゴミを拾うの

 

10. 卒業

校長の 頭頂光る 春の日に 僕は卒業 無慈悲な陽光

 

 

5はあじわい深いですね。ディスニーランドとゴミ拾いという対比がせつなくて好きです。

10、韻を踏んでる!YOKO!韻を揃えるのはわりと難しいのに、最初から自然にできるのはすごいなと思います。

  

 3


第0回「短歌の目」2月のお題 - ライティング・ハイ

 

真山さん初めてなのに音はめがお上手だなと思ったら作詞経験がおりなんですね。納得。

4.あなた
ぼくは多分あなたじゃないしキミじゃない オレでもなけりゃワタシでもない

7.外
窓の外 斧を手にした小学生「大人になんてなりたくないよ」


9.おでん
こんにゃくと玉子しかないその鍋を君はおでんと呼ぶのでしょうか

 

 

4、なんでもないような歌なんですけど力抜けてるしリズムも良いですね。

 9、脱力しつつもおでんを作ってくれた相手を受け入れている優しさが伝わってきてすごく好きです。「愛してる」っていわなくても愛はにじみ出てる感じ。 

 

4


短歌にちょうせん - 意味をあたえる

 

 

「んっ、おうっ、じ、自由だな!!」

というのが第一印象です。

fktackさん、字数からお題のよみこみから自由すぎて一周回っておもしろかったです。

4.あなた
昨日「個の手触り」という記事を書きましたがあなたは読みましたか?

 

 

よく数えたらちゃんと31文字だ!!そしてまさかの疑問形!思わず読みました!


すみません、ルールに具体的に書き忘れてしまいました。
題詠短歌はすべて必ず「お題」の単語を歌の中によみこんでくださいまし。

 

5


ingress短歌 - マトリョーシカ的日常

 

31文字しばり、しかも題詠ってだけでかなり難しいんですけどさらにingressで縛ってくる人がいるとは!

で、しかもさらーっとよどみなく詠んでらっしゃるのですごいなー変態だなーと思いました(褒め言葉です)。

 

5.板
 ゲレンデの つき刺す板は レゾネーター 心のグリフを そっとなぞった

8.夜
 夜はなく 朝が五時間 おきに来る 小さく巨大な 惑星ingress

 

 

私ingressやったことないんですけど、やってみてこの歌の感じを理解したくなるような、ingressの世界観が伝わってくる10首でした。デジタル世界を古典的ツールで詠むとこんな味が出ますという好例ですね。

 

6


はてな題詠「短歌の目」 2月の巻 - 無要の葉

 

短編小説のつどい「のべらっくす」でいつもお世話になっております、のりまきぜろすけさんです。

 

3.雪

 「雨の日と雪の日だったらどっちがいい?」ぐしょぐしょ泣いてるお前を詰問

10.卒業

 陽だまりの黒板に浮く「ありがとうもう少しだけもう少しだけ」

 

 

個人的な好みなんですけどぜろすけさんの短歌は「」「」続きの台詞短歌がユニークだし会話のリズム、スピード感が素晴らしいなと思います。
S的詰問短歌もありつつーの「卒業」のお題ではエモくあたたかい視線を向けています。きれいで滲んだショートムービーを観ているような読後感です。

 

 7


はてな題詠「短歌の目」 - OK 余裕

 

ao-ruiさんも短編小説の集いで自由奔放な創作をされているんですけど、期待通り短歌も自由でした

なんだよ「公然わいせぇ〜」ってw

 

5.板

板前の君が大きく見える夜  君は俺の向こうになに思う 

 

 

ただこの情景を切り取った目のつけどころがいいなあと思いました。

「友が皆われよりえらく見ゆる日よ花を買い来て妻と親しむ」(石川啄木的な感じなんでしょうかね。寿司屋か小料理屋のカウンターに座りながら立派に目の前の仕事にうちこむ友を見上げて、「俺」はお前からどんな風に見えてるんだろう、って「俺」に立ち返る構図ですね。

上の句と下の句で「君」が重複してるので、重複を避けた下の句の工夫でもっといいカンジになるのでは、と可能性を感じました。

 

 

 8


短歌に挑戦するぞい♪ - 枯れないように

 

自由第2弾。ウリッキュア♪じゃねえよ!!w

と思わずツッコんでしまいました。弱ペダ仲間のわた子さんご参加ありがとうね〜。

 

6.瓜

ウリッキュア♪ ウリティーキュアキュア♪ ウリッキュア♪ 瓜と勇気で 悪を撃退☆

4.あなた

ねえあなた? 今日は何時に 帰るのよ? 遅いわあなた! 嘘つきあなた!!

 

 

「狂気」の二文字が脳裏に浮かびました。

 

8.夜

夜勤明け 人の流れを逆走し コンビニで買う ビールと助六

 

 

とはいえ8の歌の目線は非常にいいとこ見てるなと思います。逆走、ビールと助六が今この瞬間にどこにも所属してない孤独感浮遊感を出してます。

 

 9


はてな題詠「短歌の目」 第0回:2月 - さらさら録

 

1.白 

 告白をするのは愛だけではないと知った 罪を見透かされた日

6.瓜 

 瓜売りが瓜売りに来てノリノリで瓜投げ瓜食べ瓜叩き割る


10.卒業 

 写真だけ笑顔のままでひとり泣く あたしまだまだ卒業できない

 

 

さらささんは短歌ご経験者ということでお上手だし、ひとつひとつが誰でもない「ああ、さらささんの世界だー」と感じます。

特に6のリズム感が最高!「瓜叩き割る」というクライマックスを歌の最後にもってくるのは、短歌の定型を活かした物語的手法でお手本にしたいです(って穂村弘公募ガイド3月号でいってた)。

 

10


はてな題詠「短歌の目」に参加しまっせ - ネットの海の渚にて

 

記念すべき感想第一回目のシメはドボン会長!

 

1.白

白白と明けの明星見た朝の 気だるさ君の髪の匂い


6.瓜

飲み過ぎて乗り越した先は喜連瓜破 そこは大阪谷町線

 

6、喜連瓜破駅ってはじめて知りました。珍しい駅名!こういうローカルさを盛り込むのもいいですね。知ってる人には「ああ」とすぐ想起できる情景でしょうし、知らない人には新しい地名を知るきっかけにもなります。

 

万葉集っぽい艶っぽい歌から始まり、夫婦なかよく子の卒業式を眺めるまでの物語短歌。喧嘩があったり途中選挙立候補したりお互いすれちがったりしただけに、最後の歌が歌以上にじんわり響きます。選挙に立候補・・・!?

 10首歌うだけでも難しいのに物語しばりはお見事でした。旦那さんは高倉健で脳内再生されました。

 

 

tips1:余白は意味の切れ目に入れる

余白は57577ごとではなく意味の切れ目に入れるといいカンジです。ねぎさらささんの作品を例にさせていただきますと、

 

1.白 

 告白をするのは愛だけではないと知った 罪を見透かされた日

6.瓜 

 瓜売りが瓜売りに来てノリノリで瓜投げ瓜食べ瓜叩き割る

 

1はやはり「知った」と「罪を見透かされた日」の間に余白があったほうが、次に出てくる「罪」という単語の重み、胸につまる感じが生きてきます。

それとは対照的に、6は余白なしでダダダーッと一気に読ませたほうが勢い、リズムを殺さず伝えられます。ウリウリウリリリィ!!

どこで切るか、または切らないかにも詠み手の個性が出てくるので、ぜひ楽しみながらトライしてみてくださいまし。

 

 

長くなりそうなので、10首ずつのご紹介と感想になります。11人目以降の方の作品は次回のエントリでご紹介させていただきます。よろしくお願いします〜。

2月の投稿作品一覧はこちら

2015-02-20 - はてな題詠「短歌の目」