短歌の目3月の感想です01−10
運営者なのに第1回という冠をすっかり忘れてしまったことに他の方の投稿エントリで気づく管理人です。
前回に引き続き第1回もたくさんのご参加、ありがとうございました。5名以下の回が続かない限り毎月開催を頑張ろうかなーと思います。で、やっぱり感想を書きたくなっちゃったので1首ずつ選んでみました。
何度もいいますが管理人はその筋の専門でもなんでもないただの短歌好き素人ですので添削等はできません、見方が正しいわけでもありません。それでは参ります。
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2.苺
汗だくでハウスの中をまさぐれば 苺の誘惑指のまにまに
艶歌を目指されたということでだいぶ遊び心が混じって楽しそうです。
歌自体暗喩なんですが、指の「まにまに」が間に間にとなんかやらかいものをまにまに掴んでるオノマトペ両方の意味をなしてるのがいいです。まにまに。
ってか詠むのはや!!
2
はてな題詠「短歌の目」3月 - Letter from Kyoto
10.信号
信号を横切るスーツの彼からはマンハッタンの道路のにおい
「マンハッタンの道路のにおい」っていう、日本で短歌を詠む人はふだんめったに体験しないだろう嗅覚をとりあげたのが良かったです。
どうしても短歌って視覚メインになりがちなので。
3
はてな題詠「短歌の目」3 月 - この国では犬がコードを書いています
9.年度末
年度末年度末とは言うけれど花は年度の「ね」さえ知らない
enkさんもさらっと詠まれてて速い。花の擬人化と花からの目線が素敵でした。
年度末だけどたしかに花はそんなことかまわず咲きはじめる。
4
はてな題詠「短歌の目」いざ、3月 - 本日の手紙 大学生の今日の出来事
10. 信号
青信号すすめの合図で勇み足 「かかってきやがれ」都会に消える
えづれさんは最近西加奈子さんの本を読まれたということで、ご自分でも影響を受けたことをあとがきに書かれたいましたね。
勇ましい歌が続いてきっと元気をもらえるような物語なんだろうなあとこちらも奮う気分でした。
その中でも10は具象度が高く、江連さん自身のことばとしても消化されており、情景として想起しやすい歌だなーと感じました。
8.バク
雷と滝に打たれて蘇生せしバクのひり出す銀の弾丸
ankoroさんは初参加ですね、ありがとうございます。1首目からもしかして回文で短歌詠まれるという変態さんいらっしゃいかなと思いマタが、微妙にちがったようです。念のため10首ぜんぶ逆からも読んじゃったよ…
回分好きというだけあって語彙が豊富でいらっしゃるんですが、特に6のインパクトがすごかったです。「バクが放り出す銀の弾丸」でしびれた。なんというアグレッシブな世界。
10.信号
「信号が赤で良かった」 違和感はなく立ち止まる スキャナー開く
局長さんは第1回目よりもingress化が深くて10なんか完全にingress脳ですね。これはもう私もingressやらないといかん。
ingressやらない人にもわかるように詠むのとどっちがいいのかなあと迷い中です。
6.羊
走破距離・Mod・ミッション・絵と勧誘 さまよう羊「あ、Mu数!」
これもしよければ解説お願いします。興味ある。
4.ひとり言
振り向いた背中に言い訳舌で書く これひとり言、ひとり言だから
さらささんは羊毛フェルトあり艶唄あり等身大でいずれもちょっとせつなく、安定した歌でした。
4、聴こえないだろうと思ってひとりごちたことが思いがけず相手の耳に入ってしまう、といった情景でしょうか。ひとり言、ひとり言だから、と届かなかったことにしたい言葉が、いつだって本当に届けたいことだったりしますよね。
8
はてな題詠「短歌の目」3月完全版 - のほほん気紛れ詩歌い
7.線
未成線 離れた人を想うのさ
君住む街へも繋がってたのに
てんぷるさんのこちらの歌で「未成線」という単語を初めて知りました。
「開発途中で工事が中止され、実現しなかった路線のこと」を指すんですね。
つながらなかった道、君の街のことを歌いながら、つながることのなかった「君」との未来への思いも暗に感じさせる歌ですね。せつない。
9
はてな題詠「短歌の目」 3月 - 漢前女子と言われ続けたい。
8.バク
目が覚めて あなたの寝言聞こえたら わたし獏になる夜の片隅
緑茶iさんは特にパートナーさんへの思いを詠むときに良いまなざしの歌が多くなってきた印象です。
8は恋人に対する愛情、母性にも似た優しいまなざしですね、言い換えるなら「So you don't have to worry,worry」でしょかね。
それに対して他のお題のいくつかがちょっと抽象的だったのが気になりました。
慣れてきたらでいいのですが、こんな感じで「具象的な情景を詠んで、その中から他の人にも通じる普遍性を見出す」のを意識してみると、他のお題でもグっとくる歌がたくさん詠める方だと思います。
10
年度末に羊とバクが苺を喰ってひとり言 - 3月の題詠短歌 - このはなブログ
7.線
どこまでも続く白線踏みしめて「落ちたら負けよ。」 知るかそんなん
はなこさんも等身大の目線でいい感じです。このままの目線で音はめや表現技法の幅が広がると心にじんとくる歌が増えるんじゃないかな〜と楽しみです。股の間から酔っ払った世界から相手の目線から、身体の一部にぐぐっと接写したり対象から遠ざかったり、いろいろ目線を変えてみるとまたおもしろい歌をお詠みになれそうです。
>>短歌たのすぃぃぃぃぃぃぃ!!ぜひ続いて欲しいイベント!!
良かったです!がんばって続ける!
うーん、なぜだかきれいな表現よりは血肉の通った歌、なにげない日常をみつめる歌のほうがグっときます。
おそらく個人的な感情・体験を美しい言葉で一段階抽象化し第三者へ届けるにはある程度テクニックが必要なんでしょうね。
次回、エントリ11−20の感想を書きます。
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